猫間障子:家屋の快適さと通気を高める障子

良い家をつくりたい。
「猫間障子」について教えてください。

建築とインテリア研究家
「猫間障子」は、障子の一部に開閉可能な小障子を組み込んだもので、寝間の換気用に使われていました。現在はガラスをはめ込んで上下に開閉できるものが多いです。

良い家をつくりたい。
もともと猫が出入りできるように作られたものなんですか?

建築とインテリア研究家
はい。障子を閉めたまま猫が出入りできるように細工された障子が本来の形です。ただし、ガラスは入っていませんでした。
猫間障子とは。
「猫間障子」とは、障子の一部を上下または左右に開閉できるように小さな障子を組み込んだものです。大形の障子や雪見障子のガラス面の上に設置され、開閉可能な小さな障子のことです。
本来は寝室の換気用として作られ、当初はガラスは使用されていませんでした。また、障子を閉じたままでも猫が出入りできるように細工された障子も「猫間障子」と呼ばれ、こちらもガラスは使用されていなかったと言われています。
現在では、 引き下げ式、片引き式、上げ下げ式など、さまざまなタイプの猫間障子があります。摺り上げ障子の種類の一つとされています。
近年では、下半分ほどにガラスがはめ込まれ、その上に障子が上げ下げできるものが「猫間障子」、下半分にのみガラスがはめ込まれ、上げ下げできる障子がないものが「雪見障子」と区別されることが少なくなり、両方を「猫間障子」と呼ぶ場合も多くなっています。
猫間障子の歴史と起源

猫間障子の歴史と起源
猫間障子は、江戸時代の中期から後期にかけて、町家や農家の住宅に取り入れられ始めました。当初は、家の中で飼われていた猫が障子から外へ脱走するのを防ぐために設置されたと言われています。しかしながら、時間の経過とともに、猫間障子は単なる猫の脱走防止策ではなく、家屋の快適さと通気を高める機能的な要素としても認識されるようになりました。
猫間障子の種類と構造

猫間障子には、使用する材料や構造によってさまざまな種類があります。伝統的な猫間障子は、杉や桧などの柔らかい木材で枠組みを作り、その枠に薄く削った板を並べて貼って作られます。この板は「駒板」と呼ばれ、通常は3~5mmの厚さで、幅は1~2cm程度です。駒板の隙間は約1~2mmほど開けられ、これが通気性を確保します。
改良型の猫間障子には、駒板の代わりにガラスやアクリル板を使用したものもあります。これらは耐久性や透明度が高く、よりモダンな印象を与えます。また、樹脂製の枠を使用した猫間障子もあり、耐水性や耐腐食性に優れています。構造的には、駒板を斜めに貼った「斜め格子」タイプや、縦または横に格子を組んだ「格子タイプ」などがあります。
猫間障子の利点と用途

猫間障子は、家屋の快適さと通気を高める伝統的な障子です。この障子は、上の半分が網戸になっている独特の構造をしており、通気性を確保しつつ、猫などの小動物が出入りできるように設計されています。
猫間障子の主な利点は、通気性の向上です。網戸の部分から新鮮な空気が室内に入り、空気の循環が良くなります。これにより、屋内の空気が淀むのを防ぎ、快適な居住空間が保たれます。また、猫が自由に出入りできるため、飼い主にとってもペットにとってもストレスが軽減されます。
現代インテリアにおける猫間障子の活用

現代のインテリアに取り入れられる猫間障子
近年、猫間障子は伝統的な用途にとどまらず、現代インテリアでも用いられるようになりました。そのユニークな構造と機能性は、居心地の良い空間づくりや快適性の向上につながります。猫間障子は、障子紙の代わりに細長い隙間が設けられており、通気性を確保しつつ、やわらかな光を室内に取り込みます。このため、居間や寝室など、自然光を取り入れたい空間で効果を発揮します。
猫間障子のメンテナンスと修理

猫間障子のメンテナンスと修理
猫間障子は、通気や採光を確保しつつプライバシーを保つ障子の一種ですが、適切なメンテナンスと修理を行うことでその機能と美しさを長期にわたって維持できます。
定期的なメンテナンスとしては、障子の枠や紙の部分を柔らかい布で拭いて汚れを取り除くことが大切です。紙が破れた場合は、和紙や障子紙で補修しましょう。また、障子紙がたるんできた場合は、糊で張り直すことで引き締まります。
より大きな修理が必要になった場合は、専門の障子職人や建具屋に相談しましょう。枠の歪みや破損を修理したり、紙の全面的な張り替えを行ったりしてくれます。また、障子が開け閉めしにくい場合は、蝶番の調整や滑りの悪い箇所の修理によって改善できます。