じゅらく壁とは?和風建築を彩る伝統的な塗り壁

良い家をつくりたい。
「じゅらく壁」について教えてください。

建築とインテリア研究家
じゅらく壁とは、和風建築で使われる塗り壁のことです。安土桃山時代に聚楽第という建物の跡地から採れた土でつくられたのが始まりとされています。

良い家をつくりたい。
茶室などにも使われているんですね。

建築とインテリア研究家
はい。茶室には茶褐色のじゅらく壁がよく使われています。最近では、じゅらく壁と同じような風合いに仕上げた壁もじゅらく壁と呼ばれています。
じゅらく壁とは。
日本の建築用語で「聚楽壁(じゅらくかべ)」というものがあります。これは和風建築の代表的な塗り壁の1つです。安土桃山時代に造営された聚楽第(じゅらくだい)跡地近くの土でつくられたことから、この名がついたといわれています。
茶褐色の土を混ぜてつくられ、茶室などに広く用いられてきました。近年では、聚楽壁に似た風合いに仕上げた壁材も「聚楽壁」と呼ばれるようになっています。
じゅらく壁の由来と歴史

じゅらく壁の由来は、平安時代にさかのぼります。「聚楽第」と呼ばれる天皇の離宮の壁を塗り固めたのが始まりと言われています。当時、壁は石灰や砂を混ぜたもので覆われていましたが、聚楽第の壁は、細かな砕石を漆喰に混ぜて仕上げたものでした。この技法が「聚楽仕上げ」と呼ばれ、後に「じゅらく仕上げ」となりました。
鎌倉時代には、寺院建築の壁にもじゅらく仕上げが用いられ、鎌倉大仏の高徳院大殿の壁が残されています。以降、室町時代には茶室の壁にも取り入れられ、茶道の侘び寂びの精神を表現するのに用いられました。江戸時代になると、民家や商家にも普及し、日本の伝統的な塗り壁として広く親しまれるようになりました。
じゅらく壁の材料と技法

じゅらく壁は、日本の伝統的な建築様式における塗り壁の一種です。その名の由来は、漆喰の表面に凹凸のある仕上げを施したもので、まるで柔らかいジュラク(縮緬)のような質感になることから名付けられました。
じゅらく壁を作るためには、消石灰と糊、そして真綿と呼ばれる繊維を原料としています。まず、消石灰に水を混ぜた漆喰を作り、真綿を混ぜ込みます。この真綿が、漆喰に凹凸を生み出す役割を果たします。その後、この漆喰を壁面に塗布し、木製のヘラや刷毛で表面を仕上げていきます。
茶室や和室に欠かせないじゅらく壁

茶室や和室を彩る伝統的な塗り壁であるじゅらく壁は、日本の伝統建築において欠かせない存在です。じゅらく壁は、土を主成分とした素材を塗り重ねることで作られ、独特の風合いと趣があります。その落ち着いた色合いとざらざらとした質感は、和の空間をより一層引き立て、訪れる人に安らぎを与えます。
現代建築でも用いられるじゅらく壁

現代建築においても、じゅらく壁は高い人気を誇っています。その洗練された風合いと柔軟な適応性は、現代的なデザインにも美しく調和します。例えば、オフィスビルや商業施設の外壁に使用され、都会的な雰囲気を演出しています。また、住宅のリノベーションでも採用されており、和のテイストを残しつつ、モダンなスタイルを追求しています。
じゅらく壁のメンテナンスと注意点

じゅらく壁のメンテナンスと注意点
じゅらく壁は耐久性に優れていますが、適切なメンテナンスを行うことで、その美しさを長く保つことができます。定期的な掃除は、埃や汚れを取り除くために不可欠です。柔らかいブラシやほうきを使用して、優しく汚れを落としましょう。また、年に一度程度、水で洗い流すのも効果的です。この際、高圧洗浄機を使用するのは避け、水圧で壁を傷めないように注意しましょう。
さらに、じゅらく壁には次のような注意点があります。表面に鋭いものを当てると傷がつきやすいので、ぶつけたりこすったりしないようにしましょう。また、雨水が染み込むと変色やカビの原因となるため、軒先や雨樋を定期的に点検し、雨水が壁に当たらないように対策を施しましょう。これらのメンテナンスと注意点を守ることによって、じゅらく壁の美しさと耐久性を維持することができます。