高架水槽とは?その仕組みと最新の給水方式

良い家をつくりたい。
先生が、「家とインテリア」の授業で言っていた「高架水槽」って、どういうものですか?

建築とインテリア研究家
高架水槽とは、ビルやマンションの高層階に設置される貯水容器のことです。水道管からの水圧が不十分な場合に、ポンプで水を汲み上げて、そこから各住戸に給水します。

良い家をつくりたい。
じゃあ、高架水槽は、水道管からの水圧が足りなくなると作動するんですね。

建築とインテリア研究家
その通りです。最近では、高架水槽の清掃不足による水質汚染の問題から、増圧ポンプで直接各住戸に給水する方式が主流になっています。
高架水槽とは。
建物の用語で「受水槽」というものがあります。受水槽とは、ビルやマンションなどの高層建築の屋上に設置する、水を貯めるためのタンクのことです。
高層建築では、一度にたくさんの水を使ったり、水道本管からの水圧が十分でない場合があります。そのため、水道本管から受水槽に水を貯めておき、ポンプでさらに高い位置にある「高架水槽」に水を送り込みます。高架水槽からは、重力の力で各住戸に水が供給されます。
しかし近年では、受水槽の清掃が不十分で水が汚れるなどの問題が起きています。そのため、受水槽をなくして、増圧ポンプを使って水道管から直接各住戸に水を供給する方式が採用される集合住宅が増えています。この方式は「増圧直結給水方式」と呼ばれています。
高架水槽の役割

高架水槽の役割
高架水槽は、都市部や高台にある建物など、高い水圧を必要とする地域に設置されています。高架水槽は、給水管網の中で重要な役割を果たしており、以下のような機能を担っています。
* 安定した水圧の維持高架水槽は、重力によって水を供給するため、高い水圧を維持できます。これにより、高層ビルや火災現場など、水圧の低下があると問題が発生する場所に安定した水圧を確保できます。
* 緊急時の水供給停電や断水時などの非常時には、高架水槽が応急用の水源として機能します。水道管から水が供給されない場合でも、高架水槽に貯蔵された水が利用できます。
* 水質の向上高架水槽は、水が自然に沈殿するため、不純物や濁りが除去されます。これにより、水質が向上し、より安全で衛生的な水が供給できます。
高架水槽の仕組み

-高架水槽の仕組み-
高架水槽は、水圧を確保するために高い位置に設置された貯水タンクです。タンクに貯められた水は、重力によって下方の配水管に流れ、各家庭や施設に給水されます。
高架水槽は、水道の給水圧の維持に不可欠です。高層階にある建物では、上水道からの水圧が十分に得られないため、高架水槽を設置することで安定した給水圧を確保しています。また、停電や災害時には、高架水槽に貯められた水は、非常用の給水源として利用できます。
高架水槽の構造は、通常、タンク、支柱、および給排水管で構成されています。タンクは、鉄筋コンクリートや鋼鉄などの耐久性の高い素材で作られており、支柱がタンクを高い位置に支えています。給排水管は、貯水タンクを水源や配水管と接続しており、水の流れを制御しています。
高架水槽の問題点

-高架水槽の問題点-
高架水槽は、水道水を生み出すために利用される重要なインフラですが、以下のような問題点を抱えています。
* -大地震などに脆弱脆弱– 高架水槽は、鉄筋コンクリートまたは鋼鉄で建設されますが、大規模地震などの自然災害に対して脆弱です。大地震が発生すると、水槽が損傷または倒壊する可能性があり、断水や被害の拡大につながります。
* -水質の低下水質低下– 高架水槽は水圧を確保するために高い位置に設置されますが、そのため水温の上昇や残留塩素の減少、微生物の増殖などの水質劣化が発生しやすくなります。
* -老朽化による更新費用の増加老朽化– 高架水槽は通常20〜40年程度の耐用年数があります。老朽化が進むと、耐震性や水質保持能力が低下し、定期的な修繕や更新が必要になります。これらの費用は水道料金の負担につながります。
* -景観への影響景観影響– 高架水槽は大きな構造物であり、街並みなどに景観上の影響を与える場合があります。都市部では、景観を重視する住民からの反対や規制強化につながる可能性があります。
増圧直結給水方式

増圧直結給水方式は、高架水槽を用いない給水方式です。この方式では、水道管から直接給水され、ポンプで水を増圧して各家庭や施設に送ります。
ポンプは、給水管の水圧が一定の範囲内に保たれるように制御されます。そのため、水圧の低下を防ぎ、安定した給水が可能となります。また、高架水槽を必要としないため、スペースの節約や建設費の削減につながります。
この方式は、高層建築や人口密度の高い都市部など、大規模な給水が必要な地域に適しています。増圧直結給水方式を採用することで、安定した給水と効率的な水道システムの構築が実現できます。
高架水槽のこれからの展望

高架水槽のこれからの展望としては、給水機能の向上が求められています。近年では、大規模災害や気候変動に伴う水不足が懸念されており、非常時にも安定した給水を実現する必要があります。そのため、高架水槽の貯水量を増やしたり、複数系統の配管を接続したりするなど、災害対策強化が図られています。
また、省エネ化も重要な課題です。高架水槽への給水には、一般的にポンプによる揚水が必要ですが、これには多大なエネルギーを消費します。そこで、太陽光発電や風力発電を活用した自然エネルギーを利用した給水システムの導入が検討されています。さらに、スマート化も進められており、水位や水質を遠隔監視・制御することで、給水管理の効率化や異常時の早期発見・対応が期待されています。