誘発目地とは？意図的なひび割れを生じさせる意味

誘発目地とは？意図的なひび割れを生じさせる意味

誘発目地の目的と役割

-誘発目地の目的と役割-

誘発目地とは、コンクリート構造物に意図的にひび割れを発生させるために設けられる目地のことを指します。この意図的なひび割れによって、コンクリートのひび割れが制御され、構造物の耐久性を向上させます。

誘発目地は、以下の目的を果たしています。

* -ひび割れのコントロール-コンクリートは、温度変化や荷重などの要因により収縮や膨張します。誘発目地は、これらの変形に対応してひび割れを誘発し、ひび割れが構造的に重要な箇所に発生するのを防ぎます。
* -応力の緩和-誘発目地は、コンクリート内部に蓄積した応力を緩和します。これにより、構造物の過度のひび割れや破壊を防ぎます。
* -耐久性の向上-誘発目地によってひび割れが制御されると、コンクリートの耐久性と耐用年数が向上します。ひび割れは、水分や腐食性の物質の浸入路となり、構造物の劣化につながる可能性があります。

誘発目地の種類と設置方法

-誘発目地の種類と設置方法-

誘発目地には、以下の2種類があります。

* -打継目地- コンクリートを打設する際に、あえて継ぎ目を作る方法です。打継目は、コンクリートの収縮や膨張によるひび割れを誘発します。
* -切り目地- 固まったコンクリートに、ノコギリやダイヤモンドカッターで切り目を入れる方法です。切り目地は、コンクリートの弱い部分にあらかじめひび割れを発生させ、その以外の部分にひび割れが広がるのを防ぎます。

いずれの誘発目地も、以下の手順で設置されます。

1. -計画- コンクリート構造物のデザインと荷重を検討し、誘発目地の位置と間隔を決定します。
2. -設置- 打継目地の場合は打設時に、切り目地の場合はコンクリートが固まってから、誘発目地を設置します。
3. -シーラント施工- 誘発目地に沿って、防水性やシーリング性を確保するためにシーラントを施工します。

誘発目地のメリットとデメリット

-誘発目地のメリットとデメリット-

誘発目地は、構造物に意図的にひび割れを発生させる手法です。この手法には、次のようなメリットがあります。

* ひび割れの制御誘発目地がない場合、ひび割れは構造物に無秩序に発生する可能性があります。しかし、誘発目地では、ひび割れを所定の位置で発生させ、それ以上の拡大を抑制できます。
* 耐震性の向上地震時には、構造物に大きな力が加わり、ひび割れが発生することがあります。誘発目地があると、ひび割れが構造物の重要な部位を避けるように誘導され、耐震性が向上します。
* 維持費の低減無秩序に発生したひび割れは、構造物の耐久性を低下させ、修繕費用の増加につながります。誘発目地では、ひび割れの発生を制御することで、維持費を低減できます。

一方、誘発目地には次のようなデメリットもあります。

* 美観上の問題意図的にひび割れを発生させているため、構造物の美観を損なう場合があります。
* コストの増加誘発目地を設けるには追加の作業が必要となるため、建設コストが増加することがあります。
* 設計の複雑化誘発目地の位置や大きさを適切に設計するには、複雑な技術的検討が必要になります。

誘発目地を設ける際の注意点

誘発目地を設ける際には、いくつかの注意事項があります。まず、構造上の支障がない場所を選ぶことが重要です。誘発目地によって構造体が弱体化しないように、十分な厚さと適切な位置に設ける必要があります。また、モルタルの強度や天候にも留意しましょう。モルタルが十分に乾燥していない場合や、雨天時などに目地を入れると、ひび割れが想定よりも大きくなったり、適切に誘導されなかったりする可能性があります。さらに、伸縮性のあるシーラントを使用することが重要です。これにより、建物の動きに対応して目地が伸縮し、二次的なひび割れを防ぐことができます。

誘発目地と他のひび割れの違い

誘発目地と通常のひび割れの決定的な違いは、その意図性にあります。誘発目地は、計画的に作成される一方、通常のひび割れは構造的欠陥や経年劣化によって発生します。誘発目地は、構造物に制御された破壊点を設けることを目的としています。これにより、歪みが蓄積して破壊的なひび割れが発生するのを防ぎ、構造物の安全性と耐久性を維持します。通常のひび割れは、構造物の安定性、強度、耐水性に影響を与える可能性があり、早急な修理を必要とする場合があります。